コワイガク(本当は怖い家庭の医学のウチ的略称)


・プレイバックto補足コワイガク

今回は、進行が早く、死亡率が高い病気について取り上げます。

「(7月13日放送)本当は怖い水虫」―――壊死性筋膜炎
筋肉を覆っている筋膜という部分に細菌が侵入し、細胞を壊死させてしまう病気で、下肢などに火傷に似た水疱が出来、皮膚が赤黒くなり崩れていく。急速に広がり痛みが強く、高熱が出る。全身状態も最後には数日で急激に悪化して死に至る。致死率は、実に50%とという、死亡率の高い恐ろしい病である。
今回のケースでは、水虫が全ての始まりだった。

今回のケースにおける発症までの経緯
|患者の足の指の間に白癬菌が取り付く
白癬菌が角層という部分を食べながら、角層の下にある表皮細胞に到達
|細胞が菌に反応し、炎症を起こす(皮がむけて赤くただれる)
白癬菌に侵された指の間は筋膜へと通じる傷口となり、その傷口から溶連菌が侵入
|足に侵入した溶連菌が急激に増殖
|連菌が出す毒素で足が炎症を起こす(足の痛み・足の甲の赤い腫れ)
|溶連菌による大量の毒素により、関節の痛みや高熱といった症状を起こす
|足が黒く変色
|全身の血管をめぐり、すべての臓器の機能が停止
↓最初の症状から僅か15時間で死亡

壊死性筋膜炎は溶連菌・連鎖球菌による感染の他に、ビブリオ菌による感染があり、ビブリオ菌感染の場合は刺身などの生魚を食べた後に起こり、下痢症状も伴うという。しかし、溶連菌が何故この病気を引き起こすのか。その原因も感染経路も、未だ判明していないのが現状なのである。


「(6月8日放送)本当は怖いしみ」―――メラノーマ
皮膚癌の一種であるメラノーマは『悪性黒色腫』とも呼ばれ、その多くが初期の段階ではシミやホクロと見分けがつかないのが特徴。皮膚のメラニンを生成する細胞、つまり色素細胞が悪性化、その腫瘍細胞もメラニンを生成する働きを持っているので、全体が黒いのである。
稀だが、メラニンをあまり作らない、黒くないメラノーマもあるという。最近では、増加傾向にあると云われている。

今回のケースにおける発症までの経緯
|強い紫外線を浴びる
|強い紫外線が直接、皮膚の中のメラノサイトを刺激
|1ヶ月でメラノーマは急成長し、同時に高く盛り上がる
|メラノーマを触る
|刺激を受けたメラノーマが増殖を早める
|急成長したメラノーマは、ついに直径5ミリに到達。形もいびつに
|メラノーマのがん細胞はすでに体内に広がり、肝臓に転移
↓メラノーマにより死亡

メラノーマの患者数は年間およそ1500人。しかも内臓に転移した場合、実に90%の患者が5年以内に亡くなっている。たかがシミ、たかがホクロと侮るのは禁物である。


・11月30日放送
「本当は怖い関節痛」―――男性更年期障害
更年期になってエストロゲンという物質が減少することで起こる症状で、一般には逆上(のぼ)せ、目眩、発汗、心臓がドキドキするといった血管運動神経の障害や、憂鬱、イライラ、不眠などの精神神経の障害、肩凝りや食欲不振が主なもの。また、それ以外にもストレスが誘因となっている場合がある。今回のケースのように、几帳面で責任感が強い人はストレスによる精神的なダメージを受けやすく、病を引き起こしやすいと言われている。

今回のケースにおける発症までの経緯
|男性ホルモンが低下(関節痛)
|男性ホルモンの低下によって自律神経が異常を来たし体温のコントロールができなくなる
|男性ホルモンの低下によって、精神のバランスが崩れる(集中力の低下、不眠など)
|病院で診察を受けたが、鬱病と診断される
|ついには、家から一歩も出られなくなるほど病を悪化
男性更年期障害と診断。現在、ホルモン療法により治療中

女性が閉経を迎える時期におこる「更年期障害」。それが実は男性にも起こることが最近になって判明。その詳しい原因ははっきりとは判っていないが、大きく関係していると考えられるのが男性ホルモン。これが低下することで、身体や精神に様々な症状が出るのである。
また、更年期障害はホルモン検査をしない限り、鬱(うつ)病や仮面鬱(うつ)病などの精神病と見分けがつかないため、鑑別が必要になってくる。

40代後半から60代前半にかけて一気に増えるこの病。その原因の一つは加齢によって男性ホルモンが低下するためと考えられているが、だからといって必ずしも発症するわけではないのである。


「本当は怖い頻尿」―――前立腺
膀胱の出口にある前立腺の癌で、初期症状は殆どなく、少し進行すると排尿困難を伴うが、痛みが全くないという。症状だけでは前立腺肥大症と区別がつかない。また、進行具合によりA〜Dの4段階に分けられ、Cは被膜浸潤、Dは周囲の臓器にまで進展しているものをいう。今回のケースでは、やはり日頃の食生活が大きく関わっていたようだ。

今回のケースにおける発症までの経緯
前立腺の癌細胞が増殖し、膀胱が圧迫(頻尿)
|癌がさらに広がり、膀胱がますます圧迫される(尿意を我慢できない)
前立腺癌が増殖を続け、膀胱だけでなく尿道までも圧迫(残尿感)
|年のせいだと思い込み、そのまま放置
前立腺癌は、腰椎へと転移(腰の痛み)
|腰椎に転移した癌細胞が脊髄神経を圧迫(足の痺れ)
↓2年後、前立腺癌により死去

前立腺癌は、今や、50歳を過ぎて検診を受けた日本人男性の100人に一人が発見されると言われ、その発癌のメカニズムははっきりとは判明していないが、食生活に原因の一つがあると言われている。外食が多く、脂っこいものが大好きだった患者の食事は、高脂肪高たんぱく。これらは前立腺癌の誘発要因として考えられているのである。
また、前立腺癌と間違いやすいのが「前立腺肥大症」。50歳以上になると、男性の5人に1人がかかると言われる病で、前立腺癌と症状がよく似ているため、自分は前立腺肥大症だと思い込んでしまう人が多いのである。

病院にも行かず放っておいた結果、患者の病は取り返しのつかないことに…。尿の症状が出た時、すぐに病院で検査を受けていたら、手遅れにならずに済んだのに・・・。


ネクストカルテ―――冬に気をつける病気SP
「インフルエンザ」「空腹感」「朝の吐き気」の3つを取り上げていきます。