コワイガク(本当は怖い家庭の医学のウチ的略称)


・プレイバックto補足コワイガク
今回は過去2週分を。

・6月14日放送
本当は怖い胃もたれ―――胃癌
胃癌とは、その名の通り胃に癌が出来る病気。日本人に発生する悪性腫瘍の中で、長年1位を占めていたが、近年減少の傾向にある。それでも、世界的に見れば、日本が胃癌の罹病率が最も多いことには変わりないのだが。
胃癌の罹病率は、2:1の割合で男性が多く、5〜60代が約6割を占めているが、高齢化社会を反映して、年々高齢者の割合も増えている。最近では、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が胃癌の発生と関係があるのではないか、として注目している。

>このケースにおける発病までの経緯
・子供の頃に感染したピロリ菌が、40数年かけて炎症を起こし、「萎縮性胃炎」と呼ばれる段階へと移行

・胃液を出す粘膜細胞が壊れて少なくなったことで、その分泌量も減少。消化に時間がかかり、食べ物が胃に残りやすくなる

・食事の量を減らしただけで煙草をやめず、塩分の多い食べ物を口にし続けた結果、煙草に含まれる発癌物質や塩分が、薄くなった粘膜を強く刺激。ついに癌ができる

胃潰瘍による痛みが発生するが、これをストレスによるものと勘違いし市販の胃薬を服用

・痛みは治まり、胃潰瘍は完治したが、癌細胞だけが生き残る

・体内では癌が刻々と成長

・癌細胞が大量出血。吐血してしまう。この時、癌がすでに全身に転移

・治療の甲斐なく、1年後に死亡

ピロリ菌を持つ人が胃癌になる確率は、およそ1%。しかし、ピロリ菌が胃癌の危険因子であることは間違いない。だからこそ、ピロリ菌の有無を知ることが予防の第一歩となるのである。

本当は怖い肩凝り―――頚椎椎間板ヘルニア
そもそも、椎間板ヘルニアとは、骨と骨の間にあって、クッションの役割を果たしている椎間板が裂けて髄核(椎間板の中央にある部分)が脱出し、神経根を圧迫する病気のこと。頚椎椎間板ヘルニアとは、頚椎に椎間板ヘルニアが起きる病気で、主に左右どちらかの腕に放散する痛みや痺れ、脱力感などが起こり、首の後ろ側が痛むため、首が動かせなくなったりする。
椎間板ヘルニアは、腰部と頸部では症状が異なる。また、髄核の脱出と症状の強さは必ずしも比例しない。ヘルニアの程度は軽いのに、症状が強いこともあれば、その逆ということも。

>このケースにおける発病までの経緯
・長年にわたり姿勢を悪くしたため、背骨のカーブがいびつな形となり、頸椎に大きな負担がかかる

・夜、寝ている間は、頭の重みが頸椎にかからないが、朝になり、起きあがって活動すると、
頭の重さが一気に頸椎にのしかかり、椎間板を強く圧迫。結果、全ての症状が午後に現れる

・くしゃみをする

・くしゃみのちょっとした衝撃で、ついに椎間板が脊髄を圧迫

・上半身だけでなく、下半身の神経までもが麻痺。膀胱がコントロールできず、失禁

・足の筋肉が突っ張り、そのまま転倒。その衝撃で、椎間板の中身が完全に飛び出す

・緊急手術によって、首から下が麻痺する最悪の事態は免れた

このような頸椎の病気は、生活スタイルの変化により、高齢者だけでなく若年層にも広がっ
ているのである。

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・6月21日放送
本当は怖いおなかの張り―――陥凹型結腸癌
大腸は、直腸と結腸に分類され、結腸は更に虫垂・盲腸・上行・横行・下行・S状に分類される。この結腸に発生した癌が結腸癌である。日本では、近年大腸癌の発生頻度が著しく、胃癌と同程度の発生頻度にまで増加しているという。原因としては平均寿命の高齢化と食生活の欧米化が大きく関わっているとされる。
結腸癌の死亡率も、1955年の統計と1981年の統計を比較すると、男性が約3倍、女性では約2倍に増加しており、中でもS状結腸癌、次いで下行・左側の発生頻度が増加している。
症例に出た陥凹型とは、最も発見が困難とされる大腸癌の一種。腸壁の内側の正常な粘膜が突然癌化し、クレーターのようにくぼんで出来るのが特徴。癌そのものがくぼんでいるため、便が通過しても、出血はほとんどないという。陥凹型結腸癌は、便に血が混じらないことが多く、更に、この癌の場合通常の人間ドックの検査では発見が難しく、内視鏡検査で初めて見つかることが多いのだ。

>このケースにおける発病までの経緯
・癌細胞の増殖によって、腸管が狭くなったため、ガスが溜まる(おなかの張り)

・増殖した癌によって結腸が圧迫され、便が通りにくくなる(下腹部のキリキリとした痛み)

・さらに肥大化した癌が便を詰まらせ、その結果、腸に大量の消化物がたまる(激しい嘔吐)

・癌がすでに肝臓に転移

・治療が続けられたが、2年後に再発。その後死亡

日本でも、年々、増え続ける大腸癌。2015年には、胃癌や肺癌を抜き、大腸癌がトップに躍り出ると予測されている。そのため、40歳を過ぎたら、通常の人間ドックの検査だけではなく、腸の内視鏡検査もぜひ必要だと言われている。

本当は怖い鼻詰まり―――パスツレラ感染症
パスツレラ感染症はパスツレラ・ムルトシダという細菌によって起こる感染症のこと。この病原菌は犬猫など身近な動物の口腔(こうくう)内にいつもいる菌で、かみ傷や引っかき傷のほか、気道を介しても感染する。最近は、マンションなど室内でペットを飼うことも多く、気道感染が目立っているという。
感染してもだれもが発症するわけではないが、幼児や高齢者、あるいは何らかの疾患があって免疫力の低下している人などが発症しやすい。かまれたり引っかかれたりしたらすぐ分かるが、問題は気道感染。症状は微熱、くしゃみ、鼻水、せきなど風邪の症状と似、加えて風邪を引いたあとに感染しやすいため「風邪がぐずついているのだろう」と考えがち。しかし、放置していると敗血症や髄膜炎など重い病気を起こす恐れもある。

>このケースにおける発病までの経緯
・飼い犬の口から患者の鼻の中にパスツレラ菌が侵入。鼻の炎症を引き起こし、膿が溜まる

・パスツレラ菌が目に入り込み、炎症を起こす

・鼻づまりや目の充血は治まる

・自分のスプーンで飼い犬に食べさせ、その同じスプーンを口に運ぶ

・結果、パスツレラ菌を含んだ飼い犬の唾液は、呼吸器官に侵入。気管支が炎症を起こし、ついには重い肺炎にまで至る

・幸いにも、一命を取り留める。今は、節度ある触れ合いで、飼い犬との幸せな時間を過ごしている

ペットブームの今、日本では、パスツレラ感染症の患者は、毎年、25%から35%の増加を続けている。しかし、まだまだこの病気が知られていないため、潜在的な患者数は、数多く存在すると言われている。

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