コワイガク(本当は怖い家庭の医学のウチ的略称)


・プレイバックto補足コワイガク


・5月24日放送
本当は怖い早食い―――糖尿病性網膜症
【糖尿病の3大合併症】の一つ。高血糖の状態が長年続くと、網膜の血管が障害され、眼に
様々な病態を及ぼす。重症化で失明に至る。
糖尿病性網膜症は、進行度によって、大きく3段階に分けられる。初期段階では病変が直接視力に影響しないため、自覚症状がない状態を「単純糖尿病性網膜症」、第3段階の前段階にあたり、網膜から新生血管(元来はなかった血管)が生じる元になる病変だが、物を見るのに、最も大切な部分に生じることは少ないため、やはり自覚症状はない。この状態を「前増殖(ぜんぞうしょく)糖尿病性網膜症」、新生血管が生じるが、これだけでは自覚症状は出ない。しかし、この新生血管は脆くて崩れやすいため、些細なきっかけで目の中に大出血を起こす。そうなると、飛蚊症(目の前に蚊などが飛んでいるように見える症状)や視力低下を起こし、大出血を繰り返すと、網膜剥離(網膜の内側にある神経網膜が、様々な理由で外側の色素を含んだ膜から剥れ、硝子体の中に浮き上がる病気)を起こすようになり、飛蚊症・光視症(目を閉じていても、光がちかちか見える症状)・大幅な視力低下を自覚する。この状態を「増殖糖尿病性網膜症」という。


今回のケースにおける発病までのメカニズム
・早食いのため、インスリンが大量分泌。膵臓の機能は低下。結果、重度の糖尿病に

・網膜の表面をびっしりと覆った毛細血管が長年、糖分だらけの血液にさらされたことで、いつしか詰まり、結果酸素不足に陥った網膜では、新生血管という新しい血管ができる

・新生血管から出血した結果、網膜の細胞があちこちで死んでしまい、見たものが正常に映らなくなる(飛蚊症のような症状・物がゆがんで見える)

・寝ている間に、眼球の内側で出血。朝目覚めると、目の中の岩のようなものが見える

・この時のショックで彼の血圧は上昇。ついに大出血が起こり、眼球全体が血で赤く染まってしまう

・眼科を受診、糖尿病性網膜症と診断。治療が遅れたため、患者の目は失明


糖尿病が進行すると、3人に1人が発症。年間3000人がこの病気で失明している。
患者がここまで重度の糖尿病になってしまったその原因は、彼の食べ方にあった。小さい頃から、よく噛まず急いで食べ物をかきこむ、いわゆる「早食い」―――こういう食べ方をすると、血液中に糖分が急激に増加し始めます。すると、すい臓はこの糖分を処理しようと、インスリンを一気に大量分泌。その機能は大きく低下していたのだ。例え、同じ量の食事を摂ったとしても、ゆっくり食べていれば、インスリンの分泌はゆるやかになり、すい臓にも負担はかからなかったのです。こうして長年に渡り、糖尿病に蝕まれた患者―――ようやく現れた症状が、あの異常な空腹感でした。あれこそ彼にとって、糖尿病を知らせる唯一のシグナルだったのだ。

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本当は怖い足の痒み―――むずむず脚症候群
眠っている間に下肢がむずむずして、じっとしていられなくなり、不眠になる病気。下肢の深部に、むずむずする・虫が這うようだ、などと表現される、耐えがたい異常感覚、不快感を生じ、じっとしていられなくなり、悪化すると上半身にも及ぶという。
睡眠時や安静時に出現することが多く、足を動かすことにより消失する。そのため、夜間の不眠・日中の眠気が生じるのだ。また、睡眠時に不随意運動(無意識な身体の動き)の反復が多く見られる。
むずむず感の症状は、妊娠・貧血・尿毒症・悪性腫瘍などに伴って起きたり、加齢により出現したりし、また、身体の疲労によって悪化するという。


今回のケースにおける発病までのメカニズム
・慢性的な鉄分不足により、全身の神経に異常をもたらす。分泌量が減り、情報を正しく伝えることができなくなってしまい、脳への情報が誤って伝えられる(足の痒み・睡眠時の足のむずむず感)

・脳からの指令が誤って足の筋肉に伝わり、勝手に動いてしまう(脚が勝手に動く)

・夕方から深夜にかけてドーパミンの分泌量が低下(症状が夜に集中する)

・症状の悪化に伴う睡眠不足と過度のストレスから、本人も気づかないうちに「うつ病」に。
発作的に自らの足を切り落とそうとした

・病院に搬送、むずむず脚症候群と診断。不足した鉄分の補給により、4週間後に完治


むずむず脚症候群の罹病率は、40歳以上の人が多い。しかし、症状の軽い人も含めると、国内だけで実に200万人近い患者がいると言われている。実は、むずむず脚症候群はまだ、医師の間でも十分に認知されていないのが現状である。だからこそ、疑わしい症状が出た場合は睡眠障害の専門医を訪ね、自ら病名をアピールすることが大切なのだ。

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ネクストカルテ―――「朝の頭痛」「子供のころの頭痛」
2週ほど野球中継をはさむようです。