コワイガク(本当は怖い家庭の医学のウチ的略称)


・プレイバックto補足コワイガク

今回は1例のみです。

(04年6月29日放送)本当は怖い肥満―――副腎癌
副腎とは、腎臓の上に接している組織で、左右に一個ずつあり、身体に必要な様々なホルモンを作り、分泌している。副腎に出来る腫瘍は良性のものが多く、癌は比較的稀。
腫瘍にはホルモンを分泌しないものとするものがあり、ホルモンを分泌するタイプでは、ホルモンの過剰が様々な症状を引き起こす。一般に見られる症状が高血圧症で、クッシング症候群(副腎皮質から分泌されるコルチゾールが過剰分泌されて起こる病気。症状として、顔が満月のように丸くなる満月様顔貌【まんげつようがんぼう】、赤ら顔、中心性肥満、皮下出血、高血圧などが起こる)などを伴う。
今回のケースでは、このクッシング症候群によって様々な症状が出、ついには脳出血で死亡している。


今回のケースにおける発病までの経緯
コルチゾールの大量分泌により、中心性肥満になる
|副腎の機能が低下し、男性ホルモンを大量分泌(男性化)
|大量に発生したコルチゾールの働きで血管が収縮し、一気に高血圧になる(頭痛)
|増加したコルチゾールが血管を作る物質の働きを低下、毛細血管はボロボロの状態に
|正座で圧力がかかり、血液が皮膚の下に大量に漏れだす(内出血)
|ボロボロになった血管がついに破裂
|流れ出した血液が脳を圧迫し、脳の機能が停止
脳出血により死亡


副腎癌も他の癌と同じく放っておけば、様々な臓器に転移していく恐ろしい病。しかし、それにもまして短期間で死に至ってしまう、このクッシング症候群こそ本当に怖い病なのだ。
副腎癌によるクッシング症候群を多く発症するのは20代から30代の女性。しかし、早期に発見し、治療をすれば治すことができるのである。




・3月1日放送
本当は怖い躓き―――特発性正常圧水頭症
通常、髄液の生産量と吸収量はバランスよく保たれているが、これが何らかの病気で障害されると、髄液が脳室や脳のくも膜下腔に異常に貯留する。この状態を『水頭症』といい、年齢によって症状は異なる。
高齢者におこる『正常圧水頭症』は、痴呆などの精神障害・歩行障害・尿失禁という3つの特徴があるが、これらが揃わないケースも稀ではない。また、原因となった病気を明らかにすることができないのが普通であるという。

今回のケースにおける発病までの経緯
|脳室がふくらむことによって真っ先に圧迫、前頭葉がダメージを受ける(歩行障害)
|圧迫により脳内の血流が減少、脳の機能が低下(記憶障害・意欲の低下)
|病院で診察→アルツハイマー病と診断
|尿失禁、認知障害が起きる
|再び、病院で検査→特発性正常圧水頭症と診断
↓手術により、その後、劇的に回復

特発性正常圧水頭症は、昨年になって治療のガイドラインが定められた、まだあまり知られていない病。さらにMRIの画像を見比べても、アルツハイマーと殆ど同じ。そのため、アルツハイマーと診断されるケースがとても多い。
このケースでは、息子夫婦が速い段階で異変に気づき、適切に対応したためことなきを得た。
患者の殆どを60歳以上が占める特発性正常圧水頭症は、決して特殊な病気ではない。現在、国内に200万人いる認知症患者の5%、10万人が治療可能な患者と考えられている。




本当は怖い喉の痛み―――急性喉頭蓋炎
喉頭の組織の一部に喉頭蓋があり、それは喉頭を塞ぎ食べ物が気道に入らないようにする役割を果たしている。『急性喉頭蓋炎』とは、この部分に生じる細菌感染による蜂巣織炎の一つで、B型インフルエンザ菌の感染が原因といわれている。
何より、この病気は短時間で急速に呼吸困難に陥り、最悪窒息死する危険性があり、朝、元気だった青年が、夕方、変わり果てた姿になることも年間数例見られる。

今回のケースにおける発病までの経緯
|風邪の菌が最悪の場所である喉頭蓋に付着。そこで炎症が起きる(喉の痛み)
|病院で診察→喉頭蓋の異常を見つけることができなかった
|炎症を起こして腫れ上がった喉頭蓋がのどを刺激(咳)
喉頭蓋が腫れ上がり、飲み込むたびに痛みが生じる(嚥下障害)
|薬を服用するも、炎症を抑えられず
|巨大化した喉頭蓋が気管を塞ぎかける(声が出にくい)
|極限まで膨らんだ喉頭蓋が、気管を完全に閉塞
|呼吸困難に陥る
↓急性喉頭蓋炎により、窒息死

急性喉頭蓋炎は、喫煙習慣のある40代から60代の男性、それも過労などで免疫力が低下した人が罹りやすいと言われている。
日本では年間1万4000人以上が発病。この病気の怖さはごく普通の風邪が引き起こすことにある。この病気の最大のポイントは、喉の痛み。もし風邪で喉が激しく痛んだら、すぐ耳鼻咽喉科に急行するべきである。もし、その痛みが急性喉頭蓋炎によるものなら、一刻を争うのだから。


ネクストカルテ―――「本当は怖いスランプ」「本当は怖い頭痛」
スポーツをする人が気をつける病気SPです。

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