コワイガク(本当は怖い家庭の医学のウチ的略称)


・プレイバックto補足コワイガク





・1月25日放送「旅先で気をつける病気SP」

「本当は怖い風呂上りの目眩」―――脳梗塞
脳動脈の内腔が途中で詰まってしまい、その先へ血液が流れなくなる病気。脳梗塞には脳血栓症(脳動脈の動脈硬化が進行し、動脈の内腔が狭くなり、その部位に血栓が出来て詰まらせてしまう)、脳塞栓症(脳以外に発生した血栓などが血液中を流れ、脳動脈に引っ掛かって詰まらせる)、出血性脳梗塞(再開通により、閉塞されていた部位から先の動脈は血流が途絶えていたために障害を受け、弱った動脈壁から血液が滲み出て脳中に出血する)と3つの病態がある。どの動脈で閉塞したかで、その症状が異なる。
患者が旅行先の温泉で溺死した原因はそこにあったが、そもそも脳梗塞に至った原因は、間違った風呂の入り方にあった。

今回のケースにおける発病までの経緯
動脈硬化が進行、血流が悪くなっている状態にも関わらず、冷えきった露天風呂へ
|かけ湯もせずに、いきなり熱いお湯に入り、そのまま10分間も浸かり続ける
|脱衣所から寒い風呂場に出た時、患者のの血圧は上昇
|すぐ湯船に浸かることで、さらに血圧が上昇
|10分間湯船に浸かった患者の体は温度に慣れ、今度は血圧が急降下
|温度変化の刺激のため、血管は収縮
|血管が狭くなることで、動脈硬化のあった脳には血小板などの物質が溜まる
|体温が上がって血管が拡がり、血圧が急降下
|血流が急激に遅くなったため、滞った血小板等が固まり、血栓ができる(風呂上りの目眩)
|脳の異常に気づかないまま、あの晩、大量に飲酒
|アルコールによる利尿作用で、体内の水分が大きく減少
|血液が濃くなり、血栓が出来やすくなる
|早朝の入浴
|早朝は外の気温が低く、お湯との温度差が大きい分、日中よりもさらに激しく血圧が変動
|上昇した血圧が下がり始めた時、血流はよりいっそう穏やかになる
|再び血栓が出来、ついには脳の動脈が完全に塞がってしまう
脳梗塞を発病。手足の痺れと意識喪失を伴い、溺死

温泉には必ず、こんな注意書きがあるはず。

「高血圧、動脈硬化症の人や、飲酒後の入浴には特に注意すること」

温泉だけでなく、家庭も含めた入浴中の死亡者数は年間1万4000人といわれ、交通事故の死者の数を大きく上回っているのである。


「本当は怖い海外旅行の疲れ」―――有棘顎口虫
顎口虫と呼ばれる寄生虫の幼虫による寄生虫症で、雷魚泥鰌(どじょう)などの川魚を生で食べることで感染する症状を差す。顎口虫の幼虫が皮膚や皮下組織に入りあちこちを移動、虫の動きに沿って線状の腫れを起こしたり、時には脳や眼球に迷入して脳炎や失明などの重症を来たす場合がある。
患者がこの寄生虫症を患った原因は、やはり海外旅行先での食事にあった。

今回のケースにおける発病までの経緯
|体内に侵入した5ミリ程度の幼虫は、食道を通って胃から腸に達する
|頭部をドリルのように回転させながら、なんと小腸の壁を貫き、血管へと侵入
|血流に乗って、肝臓にまで到達
|幼虫が肝臓に侵入したことで、肝機能障害を引き起こす(身体のだるさ)
|幼虫は体内をさまよい始める
|幼虫が皮下脂肪にまで移動し、一時的に留まる(赤みを帯びた瘤が出来る)
|幼虫がさらに移動を繰り返す
|消炎鎮静効果のある分泌物をまき散らしながら移動
|体内をさまよった幼虫はついに頭部へと移動
|頭蓋骨の数ミリほどの穴から脳に侵入、前頭葉の上を通過
|ついにはより免疫抗体の少ない眼球に到達(目の違和感)
↓治療により寄生虫は摘出。失明を免れる

海外旅行や最近のグルメブームで、この病に感染する日本人が急増。現在、日本では年間100例以上もの有棘顎口虫症が確認されている。患者も、東南アジア旅行で食べた、あの「生の川魚」で感染してしまったのだ。
有棘顎口虫の幼虫の存在は気づきにくく、その寿命も長いため、知らずに過ごしている患者が数多くいると言われている。


ネクストカルテ―――「本当は怖い難聴」「本当は怖い骨折」