日朝実務者協議 − 『北』の誠意は見せても、受け入れられない公算大

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041107-00000048-mai-int

明日から4日間の日程で、日朝実務者協議が開かれる。拉致問題における安否不明者の情報提示が焦点で、先日北朝鮮側がカルテを提示した映像を公開したが、「映像が乱れていて見え辛い」と突き放しており、特殊機関所属の人物や特定安否不明者の、北朝鮮国内における「両親」との面会を要求している。

問題の進展に期待を寄せている一方、予想通り進展せずとの声が支配的なだけに、北朝鮮側が何らかの誠意を見せるかがカギとなるだろう(彼等なりの誠意を見せても、日本側が信用しないと突き放す公算が高いが…)

>制裁について
先日アメリカが制定した「対北朝鮮人権保護法」、拉致被害者家族会ら拉致三団体が後押しした「北朝鮮船舶入港禁止法案」「改正外為法」と、北朝鮮への制裁措置のお膳建ては揃っている。今後は、誠意不誠意関係なく、制裁措置に踏み切る方針を打ち出す見込みだが、制裁措置に踏み切るには、博打的な要素が加わるとウチ自身は見る。

その理由は、ミサイルである。

どちらも、日米政府にとっては許しがたき懸案。双方の包括的解決へ前進させるには、即時に経済制裁を発動しろとの見方が支配的だが、相手は「ニトログリセリン」である以上、必要最低限・必要以上の圧力をかけるということは、相手に腹を括らせる要因を作ってしまう。
ミサイルという懸案―――仮に日米双方が制裁措置を打ったとする。そうすると、何かしらの反発は予想できるが、エネルギー支援という、北朝鮮にとっての「最重要課題」をかなぐり捨て、国際社会からのさらなる孤立を覚悟に腹を括ったとするならば、その制裁措置への意趣返しは予測しておくべきだろう。

今後を見通した上での、覚悟の上での判断ならともかく、「経済制裁を加えれば、問題は200%進展する」という、短絡的な考え方はかえって危険を伴う。
もし、仮に意趣返しが行われたとすると、その先に待っているのは軍事衝突である。テポドン・ノドンの射程距離は、日本を覆うほど広く、仮に発射されたとしてどの街が被弾するのか―――考えただけでもぞっとする。それぐらい、『北』の暴発は平和的解決を望む我々にとって大きなマイナスである。

では、どうすれば平和的に包括的解決ができるのか?
答えは簡単である。

誠意不誠意関係なく、国交を徐々に正常化させながら、一般市民を対象にした人道・経済の支援を進めていき、ある程度進ませつつ問題の解決に着手していく。時間はかかるが、平和解決にはこれしかないと思っている。
何もいきなり「返せ」「返さなかったら制裁を加える」では、相手を硬化させるばかりだし、別問題も抱えている状態であるならばそれの行使もデメリットにしかならないと思う。彼等なりの誠意を見せても信用しないと真っ向から突き放したら、問題を解決させたくても前に進まないし、誠意を見せなかったから攻撃というのは、あまりにもチンピラじみている。誠意を見せても、のらりくらりとかわすやり方も適切ではない。

もし、これらの人道支援などの支援を行わず、制裁に次ぐ制裁で解決に向かう手段を取るならば、それ相応の意趣返しというリスクを背負ってやらなければならない。北朝鮮の総人口の約3.5割ほどが重度の飢餓に苦しんでいるとされており、仮に制裁が行われ援助も全くしなかった場合、その約3.5割の飢餓者が飢え死になる計算になる。制裁の裏にはこういった狙いがあるだろうが、すぐさま餓死を狙った大量虐殺と非難されても文句が言えない。
現地の人間の人権・人格を真っ向から否定するような表わし方をすれば、なおさら非人道的と思える。一般市民を援助しつつ現体制を解体するには、『クーデター』を起こす環境を内外から作るか、現体制の当事者への『暗殺』以外方法が無いと思う。
言ってしまえば、北朝鮮国内の住民は全て現体制の『被害者』である。その被害者を盾に降伏を狙う手段を取らずに、一般市民を援助しながら現体制を敷いているボスのみを狙う方法を取った方が、軍事衝突などの混乱が起きずにすむと思うのだが、どうだろうか(超党派や家族会が、援助しながらの解決手段に乗ってくれるとは到底思えないが…)?まぁ、政権が崩壊した後に待っているのは、後継者争いという内輪もめと無政府化による混乱だから、こちら側としてはまた一つ仕事が増えることになりそうだが…(==;

こういった混乱が起きないためにも、対北朝鮮政策を無事に平和的解決することを祈りたい。
だが、強硬路線はそれさえも矮小化させるので、軍事衝突などの混乱が起きないか気が気でないのが実情なのだが。

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