経済制裁は諸刃の刃だということ、知らぬが仏か?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041210-00000102-kyodo-pol
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041210-00000017-nnp-kyu

 次々と嘘が露呈した形になり、家族会は何度怒りを込み上げたのだろうか。その表情に、ヒステリックになってきているのではないか、という感情さえ垣間見える。しかし、もう一度冷静に考えてみてほしい。そもそも国の特殊機関が、問題を進展させるほどの物証を提供するのか?と、いうことである。
 物証の鑑定や分析が進むにつれて明らかになるのが矛盾ばかり―――そうなると、残りの物証の鑑定次第ということになるが、嘘が露呈しつづけている以上、本物という確証は何もない、ということになろう。

経済制裁論は高まっているが・・・
 そうなると、当然この後の行動は経済制裁強要要求ということになるが、再三言ってきているように、今後の見通した上での、覚悟の上の判断ならともかく、「経済制裁を行えば、100%いや200%問題は進展する」という、短絡的な考えは危険すぎる。しかし、再確認の様子を見る限り、今後の見通した上での、覚悟の上の判断、という素振りは全く感じられないように見える。短絡的な考えという感が拭えないのだ。
 相手は「ニトログリセリン」である以上、民間で出来る・出来ない、必要最低限・必要以上の圧力をかけるということは、相手に腹を括らせる要因を作ってしまう。更に云えば、北朝鮮の国情が危機的状況に陥っているのであれば、経済制裁が逆に暴発の誘因になることだって考えられる。

 では、経済制裁をかければ本当に問題が進展するのか?―――そうなってもらわないと困る、が妥当だが、不測の事態が起きることだって考えられる。その最悪のケースが軍事衝突だろう。軍事衝突が起きなくとも、別の事態が起きた場合、近隣国の機嫌を損ねてしまう場合がある。今現在の北朝鮮の国情を見ると、いわゆる『脱北者』が後を絶たない。その『脱北者』を受け入れる国は何処か―――その人数が多かろうが少なかろうが、受け入れる側から抗議が入るかもしれない。場合によっては国同士が拗れるかもしれない。つまり、措置を施すには近隣国の顔色も伺わなくてはならない、ということだ。
 以前、「北朝鮮国内の住民は全て現体制の『被害者』である」と言った。にも関わらず、その「被害者」にも情け容赦ない処置は、受ける側からすれば『餓死を狙った大量虐殺』と非難されても文句が言えない。現地の人間の人権・人格を真っ向から否定するような表わし方をすれば、なおさら非人道的と思える。

どっちが非人道的だ―――という言い返しはその際置いといて・・・

 国そのものを住居とするならば、他人の家に連れて行かれた娘・息子・夫妻・家族を連れ戻すとするのが妥当だが、経済制裁を掛けると言うことは、他人の家に無断で押しかけてまで自分の娘・息子・夫妻・家族を虐待するのと一緒である。・・・『他人の家の主を殴り殺してまで連れ戻す』が一番シックリ来るか・・・

 状況が状況だけに、最早予断は許されない。しかし、ここでどう判断するかが日本の明暗を分けると言っていい。制裁で暴発を誘引させるか、協議続行で平和的解決を望むか―――世論と言うバックを身につけた家族会の機嫌を伺う首相の判断は如何に・・・

Ps.論者も、感情的にならず、もっと冷静になってもらいたいものだ。





経済制裁が実現した時の表情は見るに耐えがたい。棘道を進む我々は、「こんなはずでは」という表情を浮かべた経済制裁論者の顔を拝むことにしよう。<ぅゎ

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