コワイガク(本当は怖い家庭の医学のウチ的略称)

・プレイバックto補足コワイガク

今回は、過去に取り上げた症状の中で脳梗塞に至ったケースを2回に分けて取り上げます。


「(6月8日放送)本当は怖い痛風」―――脳梗塞
そもそも痛風とは「高尿酸血症」と呼ばれる、血液中の尿酸値が高い状態が長く続き、結果急性関節炎を起こした状態をいう。最近の研究によって、尿酸値の高さと脳硬塞は密接に関連しているという事が明らかになっている。

このケースにおける発症までの経緯
|上司の強要で飲まされたビールによって、血液中の尿酸の量が急激に増加
|血管の動脈硬化が進むと同時に血小板が集まりやすくなり、赤血球の数も増加
|血液が濃縮化、血栓ができる
|脳の一部の血流が途絶え、足の感覚に異常が生じる(膝の痺れ)
|脳の様々な場所で血栓が詰まる(呂律が回らない・手に力が入らないなど)
|大きな血栓が脳の動脈を完全に塞ぐ
脳梗塞により死亡

痛風では死ぬことはないだろう」という、間違った常識がもたらした悲劇―――今思えば、死神の鎌が振られた瞬間は、あの上司の強要で飲まされたビールだったのかもしれない。


「(6月15日放送)本当は怖い虫歯」―――感染性心内膜炎
患者の死因は脳梗塞。しかし、脳の病気と虫歯とは一体どんな関係があるのか?そこには、ある病気が隠されていた。それは、心臓の内部になんらかの細菌が侵入し、心臓の一部を腐らせてしまう病「感染性心内膜炎」だったのだ。

このケースにおける発症までの経緯
|放置していた虫歯の歯茎から出血したその時、細菌が血液中に侵入
|細菌がそのまま血管の中を進み、大動脈へ血液を送り出している弁に取り付く
|細菌に侵された心臓が炎症を起こす(発熱・高熱)
|心臓の弁に巣食った細菌は増殖、弁を腐らせ、ついに病巣は疣(イボ)状に成長
|欠片が剥れ、血流に乗って全身へ回り、指の末梢血管に疣の欠片が詰まる(赤黒い斑点)
|弁から最も大きな疣状の病巣がはがれ、動脈内を猛スピードで移動
|その欠片によって脳の血管が塞がれる
脳梗塞により死亡

全ての始まりは、あの虫歯。たかが虫歯とたかをくくり、放っておいたがために起こった悲劇だった。


・11月16日放送
「本当は怖い腰痛」―――腹部大動脈瘤破裂
動脈瘤とは、動脈の一部が膨れて出来た瘤(こぶ)の事。腹以外にも、心臓・手足・頭の中に出来る事がある。その原因は、大部分が動脈硬化や大動脈炎。大動脈瘤は大きく分けて2つ(真性と解離性の2つ)あり、特に解離性大動脈瘤は極めて重く、心筋梗塞脳卒中を併発することがある。
動脈瘤に至ったその原因は生活習慣にある。長年の喫煙、高カロリーの食事、そして運動不足。これらによって患者は、高血圧になっていたのだ。

このケースにおける発症までの経緯
|高血圧のため、血管が劣化。動脈硬化を引き起こす
|腹部大動脈に大きな圧力がかかり、瘤状に膨れあがる
|大きくなった瘤で、脊髄を圧迫(腰痛)
|直径10センチに巨大化した瘤が尿の通り道である尿管を圧迫(尿便障害)
|腰を伸ばそうと身体を反らした時、圧迫された腹部大動脈瘤が破裂
↓失血性ショックにより死亡

腹部大動脈瘤は、通常のレントゲンにはほとんど映らない。そのため整形外科でも発見されなかったのだ。破裂してしまうと、その7割以上が死に至るといわれるこの病。殆どの人は、病院への搬送中に亡くなっている。だからこそ、破裂する前の発見が、生死を分かつ重要なポイントとなるのである。


「本当は怖いしゃっくり」―――脳腫瘍
脳腫瘍とは、頭蓋内に発生する腫瘍のこと。頭蓋内に現われるため、診断が難しくばかりでなく、良性であっても生命の危険に晒されることがあり、また手術も容易ではないという。
脳腫瘍は大きく分けて2つあり、発症した部位によってその症状も異なるという。また、最初から脳にできるタイプと、肺などから転移するタイプと異なることも一つの特徴といえる。

このケースにおける発症までの経緯
|小脳と脳幹を包む髄膜に腫瘍が出来る
|脳幹の呼吸を司る部分が腫瘍に圧迫(しゃっくり)
|胃の動きをコントロールする中枢が圧迫される(嘔吐)
|腫瘍が徐々に巨大化
|腫瘍により耳の神経の働きが阻害される(難聴)
|巨大化した腫瘍が脳の中の髄液の流れをせき止める(頭痛)
|腫瘍によって、脳の性格と感情を司る部分が正しく働かなくなる(性格の変化)
|腫瘍は致命的な部分に到達。呼吸を司る呼吸中枢を押し潰す
↓脳腫瘍により死亡

しゃっくりは、意思に関係なく一定の間隔を置いて現われる、横隔膜の痙攣によって起きる症状。大抵の場合は自然回復するが、長期間続く時は、精神的な原因の他に、咽頭・胃(横隔膜を刺激する場所に出来たもの)・肝臓・肺それぞれの癌か、縦隔腫瘍などを疑う必要が要る。今回のように、しゃっくりから脳腫瘍にいたるケースは稀。
また、脳腫瘍は女性の方が男性よりおよそ2倍発症するといわれ、その理由はまだ判明していない。しかし悪性でない限り、早期に発見して治療をすれば、殆どの場合、命は助かるのである。だからこそ症状を見逃さないことが最も重要である。


ネクストカルテ―――「本当は怖いイライラ」「本当は怖い目の充血」
あまりイライラが感じないというのはどうなんでしょうね?(^^;)案外ストレスとか、多く溜め込む性格なのかも・・・。