コワイガク(本当は怖い家庭の医学のウチ的略称)

今回は特別コラムとして、TV等で取り上げた病気について2例紹介します。いずれは、このコワイガクで症例として登場してくるのかもしれません。

・特別コラム

その1:変異型クロイツフェルト・ヤコブ病
脳が海綿やスポンジのように穴だらけになり、痴呆が進行し寝たきりになり、やがて死亡する病気を総称してプリオン病という。クロイツフェルト・ヤコブ病とは、人間のプリオン病の約80%を占め、世界中に見られる病気。発生は10万人に1人とされる稀な病気で、主に高齢に多く発症するもの。そして変異型ヤコブ病は、1987年からイギリスで、BSE(俗に狂牛病)が急増、94〜95年にかけてクロイツフェルト・ヤコブ病の若年発症例が10数例ほど同国で報告されている。

日本では、先日国内初の発症例が報告されているが、感染経路など、現在のところ調査中との事。確定した根本的な治療法はまだなく、この病気は厚生省の特定疾患に指定されている。

主な症状:症状の初期段階から、精神症状・歩行障害・記憶力低下など。数ヶ月で痴呆が急
速に進行、その後意識障害などが見られ、寝たきりとなり、1〜2年で死亡。


その2:掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
女優の奈美悦子氏が患い、闘病生活を送った病気。掌(てのひら)や足の裏に膿を持った水疱(膿疱)が出来、長期間に渡って再発を繰り返す。時に胸鎖関節痛を伴うことがある、代表的な膿疱性の皮膚疾患。発生頻度は高く、慢性扁桃炎や虫歯などの感染の影響や、歯科治療で使用される金属アレルギーによることもあるが、原因として多くは不明。

過去の統計から症例の大部分が喫煙者であることが指摘されている。また喫煙は慢性扁桃腺炎や慢性気管支炎などの原因となるため、禁煙は非常に重要とされている。

主な症状:掌や足の裏に膿疱が出来、これが長期間に渡って再発を繰り返す。進行によっては、肘や膝などにも症状が出ることがある。合併症として、胸鎖関節痛など。


・2月22日放送〜女性が気をつける病気SP

本当は怖い生理痛―――卵巣癌
卵巣癌とは、文字通り、卵巣にガンが出来てしまい、最悪の場合死に至る恐ろしい病。婦人科の癌の中で、卵巣癌は年々増加傾向にあり、死亡率も高く予後の良くない病気である。これは、卵巣が腹腔の奥にあるため、直接に検査する方法がないことや、『忍び寄る殺人者』と呼ばれるように、早期の卵巣癌は症状があまり無く、発見時にはすでに腹腔内に広がった進行癌になっている場合が多いことによる。
今回のケースでは、子宮内膜症(子宮内膜、それに類似した組織が、子宮内腔以外の部位に発生する症状)に出来た袋状の塊が癌化したことによる。


今回のケースにおける発病までの経緯
|出産後の生理痛
|市販の薬で痛みをごまかし、半年に一度の定期検診を怠たる
子宮内膜症によって出来た袋状の塊が癌化、大きく膨れ上がる(下腹部の張り・痛み)
|癌が肺を覆う胸膜に転移、胸水がたまって肺を圧迫(しつこい咳)
|病院で精密検査を受けた結果、癌が発見
↓卵巣癌により死亡


卵巣癌の特徴は、転移が極めて早いこと。症状が少ないため、中々気づくことが出来ず、肺などに転移してから初めて発見される場合も多い。卵巣癌が発生するメカニズムは、まだ判明していない。しかし動物性脂肪の多い食生活が原因の一つと言われ、その死亡者数は年間約4000人。この50年間で約8倍に増えている。子宮内膜症は殆どの場合、良性の病気だが、放っておくとまれに、卵巣癌になる可能性があることを決して忘れてはならないのでである。

本当は怖い肌の痒み―――PBC=原発性胆汁性肝硬変
肝臓の中にある胆管、これは肝細胞から分泌される胆汁を腸に排泄する機能を持つが、その胆管に自己免疫機能の異常が原因となって慢性の炎症が起こり、胆汁の排泄が障害され、肝臓の中に胆汁が溜まっていく。進行すると黄疸が表れ、最終的には「胆汁うっ滞性肝硬変」になる病気。英語名:Primary Biliary Cirrhosisの頭文字を取って、PBCと呼ばれ、厚生省の特定疾患に指定されている病気。
決して最初から肝硬変の状態にあるのではなく、大半は自己免疫性胆管炎として経過する。この病気の発症例のうち、8〜90%は40歳以上の女性に見られる。


今回のケースにおける発病までの経緯
|何らかの原因で免疫機能が異常をきたし、この胆汁の流れる管が攻撃され、破壊
|行き場を失った胆汁があふれ、肝臓を侵食。さらに血流に乗って全身を巡りはじめる
|血管を流れる胆汁が全身の皮膚の末梢神経を刺激(しつこいかゆみ)
|胆管が破壊されたせいで、腸は本来送られるはずの胆汁が不足
|骨を形成する栄養素が吸収されなくなってしまう
|結果、骨がボロボロの状態に
|転倒により、背中を骨折
|固くなっていたK・Fさんの肝臓に血液が入ることができずに逆流
|食道の静脈が圧力に耐えられなくなり、ついに破裂(吐血)
↓PBCと診断。リハビリを続けながら、肝移植をするための肝臓提供者を待ち続けている


肝炎ウィルスがなく、アルコールも飲まないからと行って、決して安心してはいけないのである。肝臓についての誤った思い込みを変え、アルコールやウィルス以外にも肝臓の病気があることを知るのが大切である。

ネクストカルテ―――「本当は怖い躓き」「本当は怖い喉の痛み」
前者はアルツハイマー型痴呆の線が高いと思うんだけど・・・

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