コワイガク(本当は怖い家庭の医学のウチ的略称)


・プレイバックto補足コワイガク

・12月14日放送 − 冬に気をつける病気2時間SP
「本当は怖い朝の吐き気」―――心筋梗塞
冠状動脈の血流が不足している状態が強く、30分以上続くと心臓の壁の一部の細胞が壊死を起こす病気。心筋梗塞には急性のもの(この病気に掛かって数週間の状態)と陳旧性のもの(広範囲にわたり心筋が壊れており、一生病気が続いているつもりで生活しなければならない状態)とがあり、発病後最初の2日間に約4割近くが死亡していると言う、死亡率の高い病気。諸原因として動脈硬化があるが、事実患者の心臓でも長年の生活習慣により動脈硬化が起きていた。今回のケースでは、家中の温度差も心筋梗塞を患う要因になった。

今回のケースにおける発症までの経緯
|急激な気温低下に晒され、身体は反射的に血管を収縮
動脈硬化を起こしていた血管が収縮でさらに狭まり、血液が殆ど流れなくなってしまう
|心臓が一時的な酸素不足に陥る(吐き気)
|関連痛により心臓の異常を「胃の不快感」と勘違いする
|関連痛により左肩の凝り・痛みを感じる
|急な気温差と階段を上る運動によって、血管が一気に収縮
|心臓が血液をうまく送り出せないことで、肺が酸素不足に陥る(息切れ)
|元旦の日、気温24度の部屋から気温3度のトイレに移動
|急激な気温低下にくわえ、思いきり力んだために、血管が猛烈に収縮
|その衝撃で血管の膨らんだ部分にひび割れが生じ、血小板が集まりだして固まってしまう
|血管は完全に塞がれ、血流もストップ
心筋梗塞を発病、治療も空しく死亡

今回のケースで決め手となった部屋の温度差。最初の症状が表れた時は、13度もの温度差が、その冬一番の寒さを記録した元日の朝、患者は気温24度の部屋から気温3度のトイレに移動したこの時、実に21度もの温度差が生じていたのだ。
思わぬ危険が潜んでいる冬場の屋内。特に心筋梗塞による死亡者は、冬が夏の1.5倍。その多くは家の中で発生している。とりわけ注意が必要なのは、トイレ・脱衣室・浴室の3つ。
どの場所も気温が低く、さらに服を脱いでしまうため、心筋梗塞を起こす危険性が高くなってしまうのである。


「本当は怖い空腹感」―――冬季鬱病
ストレスが引き金となり長期間気分が落ち込んだ状態が続き、家から出られなくなってしまうなど日常生活に支障をきたしてしまう精神の病、それが鬱(うつ)病である。冬季鬱病は、冬の時期になると昼間も眠気が強くて寝すぎたり、食欲がありすぎるなど、季節性鬱病として特に顕著に見られる症状。最悪の場合、自殺衝動を起こす場合があるという。
今回のケースでは、ストレス以外に、冬の日照時間が鬱症状に拍車をかけた。

今回のケースにおける発生までの経緯
セロトニンの減少により脳の働きが低下(空腹感)
セロトニン不足により、脳の活動が極端に低下(倦怠感・眠気)
|春になると劇的に回復
|冬になると再び発症。さらに転勤によって症状は悪化
|無力感や絶望感といた激しい精神症状を引き起こす
↓自殺未遂。早期発見により一命を取り留める。現在、光療法で治療中

20代から40代の女性が多くかかるという冬季鬱病。国内ではなんと、10人に1人がこの病の予備軍だといわれている。冬季鬱病は、決して特殊な病気ではないのである。


「本当は怖いインフルエンザ」 − 新型と言う名の脅威
インフルエンザは、冬の病気の代名詞として知られている病気。鼻水・くしゃみ・咳などの風邪症状だけでなく、高熱・頭痛・筋肉痛などを起こし、気管支炎や肺炎を併発することもある重篤な全身感染症で、高齢者などでは死亡原因となることもあるという。
インフルエンザは過去に3度パンデミック(世界的流行)を起こした例があり、特に1918年の『スペイン風邪』は全世界で2000万人が死亡、日本では2500万人が感染し、死者38万人を出している。その後、57年に猛威を振るったアジア風邪、68年に猛威を振るった香港風邪というふうに、10〜20年ごとに人類を襲っている。

1997年5月、香港で3歳の幼児が高熱と咳に苦しみながら死んだ。高病原性鳥インフルエンザによる感染と判明。発病から死亡まで、わずか10日間という短さだった。そして、そのさらに3ヶ月後の8月、アメリカやオランダの専門家による調査の結果、ニワトリを大量死させたのと、3歳児を死なせたのは、同じH5型ウイルスであることが判明した。
H5型ウィルスと判明したその3ヶ月後、香港の13歳の女の子が同じインフルエンザにかかって入院し、さらに1ヶ月後には54歳の男性が、このインフルエンザで死亡。12月に入って発病者は徐々に増えて8人となった。
5月に亡くなった幼児の感染原因が保育園で飼っていたヒヨコから感染したとの疑いが伝えられたため、鳥を飼っていた学校や家庭では、子どもが感染しないよう駆逐したり、屋外に放したりしたし、小鳥好きが集まる「バードストリート」では、人通りも減ったという。香港の鶏肉の約8割を卸売りしている市場では、衛生重視のため数日間取り引きを停止、徹底的な消毒を行うという事態に発展した。  

H5型ウィルスの発生は、世界中の免疫学者たちを驚かせた。これまでインフルエンザウィルスは、豚や牛から人間への感染は見つかっていたものの、鳥類から人へ感染するとは考えられていなかったためである。このため、世界の免疫学者の間では、大きな危機感を持たれていた。

あれから7年―――タイ北部のとある農村で、鳥インフルエンザに感染した11歳の児童が死亡。その数日後、死亡した児童の母親が同じような症状に見舞われ、娘の後を追うかのように死亡した。11歳の児童が死亡した例のみで見ると、97年に起きた香港のケースと同じだが、今回は決定的な違いがあった。
このケースで問題なのは、母親の死亡。11歳の児童が感染したH5型インフルエンザは鳥から直接、感染したものと特定できたのだが、母親は都会へ出稼ぎに行っていたため、鳥と濃厚な接触は考えられなかった。そこで疑われるのは、人から人への感染―――つまり、一番恐れていた新型インフルエンザの発生だったのだ。この事態を重く見たタイ政府およびWHOは徹底的に調査を敢行。その結果、

「今回のケースでは人から人に感染した可能性があるものの、その感染は家族間に限られていて、それ以上の社会的広がりは現在のところ見られない」

という内容が報告された。現在、世界各国の研究機関により娘から母親に感染したウィルスが、人型に進化したかどうか、慎重な分析が行われているが、詳細は今もって調査中だという。WHOは、さらにこう続けている。

新型インフルエンザの発生は、我々には止めることができない。問題はそれがいつ起きるのか、ということである」

もし、このH5型ウィルスが過去に大惨事を引き起こした3つのウィルスのように鳥型から人間型に進化していたら―――その場合、わずか1週間でウィルスは世界中に蔓延し、なんと世界人口の半分に当たる30億人が感染。死者は5億人にものぼると予測されている。
最悪の事態に直面した時、人類は果たして『パンデミック』と呼ばれる世界大流行の恐怖に立ち向かうことが出来るのであろうか…?


ネクストカルテ―――「本当は怖い浮き出た血管」「本当は怖い咳」
年明けは11日からの放送です。放送開始から1年経ったらもう一度集計したいと思います。

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