コワイガク(本当は怖い家庭の医学のウチ的略称)


・プレイバックto補足コワイガク

今回は、先入観や思い込みが命取りになったケースを取り上げます。

「(5月4日放送)本当は怖い腰痛」―――急性膵炎
急性の炎症が膵臓に起こったもので、膵液の働きが活発になりすぎ膵臓そのものを消化していく病気。胆石が原因の場合が多いが、それとは関係なくアルコールの飲みすぎによっても起こる。また、おたふく風邪に合併して起こったり、腹部を強打した時にも起こる。

今回のケースにおける発症に至るまでの経緯
膵臓が痛む(腰の鈍痛)
膵臓が腫れ、崩壊寸前の状態に(胃の痛み)
|一日に大量のコーヒーを飲む事で、弱っていた膵臓をさらに痛めてしまう
|バーベキューで再び飲酒
膵臓が自己消化する(腹部の激痛)
↓急性膵炎により死去

お酒の飲み過ぎで悪くなるのは肝臓という先入観―――それこそが大きな落とし穴だった。
今回のケースに登場した患者も肝臓の検査をしたものの、実際に痛んでいたのは膵臓。通常の人間ドッグでは特に依頼されない限り、膵臓まで細かく調べないことが多い。そのため、よほどひどくならない限り、異常が発見できない膵臓は、かつて「暗黒の臓器」とまで呼ばれていたのである。
禁酒を続けてきたことで、肝臓が良くなってきているはずと、気が緩み、バーベキューで再び飲酒したことが運の尽きになろうとは・・・油断大敵。

「(4月13日放送)本当は怖い胃痛」―――心筋梗塞
心筋梗塞とは、冠状動脈の血流が不足し心臓の壁の一部の細胞が壊死を起こす病気で、非常に死亡率が高いという恐ろしい病。今回のケースに登場した患者は、胃痛を訴えていた。死後、胃はどこにも異常がないことが明らかになった。
心筋梗塞を発病したその原因は、連日の接待や宴会で塩分の多い料理や脂っぽい物の摂りすぎなどの食生活。これにより高脂血症や高血圧に繋がり、結果、動脈硬化を起こし、ついには心筋梗塞の発作を引き起こしたのだ。

今回のケースにおける発症に至るまでの経緯
|連日の接待や宴会で塩分の多い料理や脂物の摂りすぎなどの食生活を送る
高脂血症や高血圧に繋がり、結果動脈硬化を引き起こす
心筋梗塞による放散痛によって胃痛が起きる
心筋梗塞により死去

心筋梗塞による放散痛(病気になった場所とは違うところにも表れる痛み)によって起こった胃の痛みを、患者は日頃の生活習慣から自己判断し、胃が悪いと思い込んでしまったのだ。

どの病気もそうだが、日ごろの生活が原因で病気にかかることは多々ある。だからといって、自己判断をするのはかえって危険。それが全く違う病気の場合があるだけに、それを疑い早期発見を心掛ける必要が要るのである。


・11月23日放送
「本当は怖いイライラ」―――インスリノーマ
膵臓にある『ランゲルハンス島』と呼ばれる部分にあるβ細胞から出来る潰瘍のことをいい、インスリンが大量に分泌され、糖尿病とは逆の症状を来たす。つまり、血中のインスリンが著しく増加し低血糖状態になるのだ。

今回のケースにおける発症に至るまでの経緯
低血糖状態になる(イライラ)
|アドレナリンによって脳が異常な興奮状態になる(不眠)
|脳が慢性的な葡萄糖不足に陥り、常に食べ続けて血糖値を上げるよう命令(異様な食欲)
|慢性的な低血糖が続く(幻覚を見る)
|飲酒。アルコールによって肝臓に蓄えられた葡萄糖の放出を抑制
|アドレナリンが葡萄糖を取り出すことも出来なくなり、脳は致命的な葡萄糖不足に
|そのまま睡眠
↓昏睡状態になり、二度と目覚めなくなる

慢性的な低血糖が続き、ついに幻覚まで見てしまい、病院で「欝(うつ)の傾向が見られる」と診断されるが、症状が進行すると、そう診断されることが少なからずあるという。

インスリノーマの年間患者数は、40〜50名。その多くは早期発見され、大事には至っていないが、心の病と見誤り発見が遅れてしまうと、命に関わることもあるのである。

「本当は怖い目の充血」―――角膜潰瘍
角膜の上皮から深層に病変が及び、組織が欠損した状態をいい、病変の主な原因として感染性、非感染性(主に外傷性・アレルギー性・角膜の軟化など)、両者の混合の3つに分けられる。感染型の場合、細菌・真菌・ウィルスによるものが感染原因とされている。
原因は、コンタクトレンズの誤った使用法。手入れをしないばかりか、使用期限切れのレンズをそのまま使用し、結果、角膜潰瘍を患った。

今回のケースにおける発症に至るまでの経緯
|コンタクト使用開始
|コンタクト装着のまま熟睡
|角膜はより酸素不足に陥り、角膜上皮の細胞が窒息死(目の充血)
|レンズのこすり洗いをしないばかりか、なんと使用期限切れのレンズをそのまま使用
|レンズについた汚れが角膜を刺激し続け、上皮の細胞が傷つけられる
|レンズケースの手入れを怠る。そのため、ケースの中で緑膿菌が増殖を開始
緑膿菌が繁殖しているコンタクトレンズを丸2日間、付けっぱなし
|その2日間で、緑膿菌は爆発的に増殖。傷ついた角膜の奥深くまで侵入
↓角膜腫瘍を発病。左目は大事には至らなかったものの、右目を失明

コンタクトレンズの使い方をきちんと守っていれば、こんなことにはならなかったかも知れないのに…哀れな結末であった。


ネクストカルテ―――「本当は怖い痔」「本当は怖い風邪」
風邪は年に1〜2回引くか引かないかぐらい。大概はプライベートでの無茶が祟って風邪。痔に関しては心当たり無いんですが…パソコン、短時間しかやらないとはいえ、毎日のように座ってるんで、『もしかすると…』なのかも知れません。皆さんも心当たりあるかと。